「やる気が出たら勉強を始めよう」――この考え方こそが、最大の罠である。脳科学の観点から言えば、人間の脳は「行動する前」にやる気という感情を生成するようにできていない。感情が先にあるのではなく、行動という物理的変化が先にあって初めて、脳内物質であるドーパミンが分泌される。
つまり、静止している物体に摩擦力が働くのと同様、机に向かう直前が最もエネルギー消費量を必要とする。脳はエネルギー消費を嫌う器官だ。だからこそ、課題の量や難易度を認識した瞬間に「今は休むべきだ」と強力なブレーキをかけてくる。このブレーキを「意志の弱さ」と勘違いして落ち込む必要は一切ない。