SNSや農業コミュニティを覗くと、「耕すのをやめたら収穫量が半分以下になった」「雑草取りに追われてかえって労働時間が増えた」といった生々しい悲鳴が溢れています。ネット上では「不耕起栽培は夢の農法なのか、それとも非現実的な理想論なのか」という二極化した論争が長年繰り広げられてきました。
長年この農法を検証してきた現場の生産者は、手記や取材の中で「最初の2年間は減収に耐える運転資金がなければ、専業農家としては確実に破綻する」と赤裸々に語っています。慣行農法との違いを客観的なデータで見比べると、乗り越えるべきハードルが浮き彫りになります。
ネット上の批判的な反応の多くは、こうした移行期間の「産みの苦しみ」に対する準備不足から生じています。逆に、4〜5年を経て土壌生態系が完成したベテラン農家の間では、「収量が慣行農法と同等以上に安定し、病気に対する抵抗力も上がった」という確かな手応えが共有されています。短距離走の感覚で挑むと確実に敗退し、マラソンの持久力を持って設計することこそが、不耕起栽培における成否の分水嶺となっています。