子どもの進学に伴う世帯分離は、近年最も相談件数が多い分野です。国の高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)が拡充された現在、生活保護世帯から大学や短大、専門学校へ進学する道は大きく開かれました。しかし、保護を受給したまま大学に通学することは認められないため、生活保護の世帯分離と大学進学は不可分の関係にあります。
進学に伴う世帯分離が成立するための具体的な実務条件は以下の3点です。
第一に、学費および学生本人の生活費を自力で完全に賄える計画性が求められます。給付型奨学金、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金、あるいは本人のアルバイト収入によって、学費や個人の最低限の生活費が維持できる旨を記した収支計画書を福祉事務所へ提示します。
第二に、学生本人のアルバイト収入や奨学金が、残された保護世帯の収入認定から除外される点です。世帯分離が完了すると、学生本人は生活保護の対象外となるため、本人が稼いだアルバイト収入を保護世帯の収入として申告し、保護費から差し引かれる事態は回避されます。ただし、分離された学生が親へ生活費として現金を渡した場合、それは保護世帯にとって「他者からの仕送り(贈与)」とみなされ、保護世帯の収入認定対象となるため厳格な資金管理が必要です。
第三に、就職に伴う世帯分離の場合、本人の月収が国の定める最低生活費を恒常的に上回っていることが条件となります。一時的な短期バイトなど不安定な収入状況では分離申請が却下される傾向にあり、社会保険の加入状況や雇用契約の期間が綿密に審査されます。