軽油と灯油の違いとは?ディーゼルに灯油を入れる違法性と故障リスク

軽油と灯油の違いとは?ディーゼルに灯油を入れる違法性と故障リスク

軽油と灯油の違いとは?ディーゼルに灯油を入れる違法性と故障リスクとは一体何なのか? 詳しい意味を整理してお届けします。

ディーゼル車に灯油を入れるトラブルと対をなすのが、冬場に多発する逆のパターン、すなわち家庭用石油ファンヒーターに軽油を誤給油した場合の危険性です。「どちらも石油だから温まるだろう」「同じような油だから問題ないはずだ」という油断は、室内を一酸化炭素と煤煙の地獄へと変貌させます。

石油ファンヒーターやポータブル石油ストーブは、気化器(バーナー部)で灯油を瞬時に加熱・ガス化し、空気と混合して完全燃焼させるよう極めて緻密に設計されています。前述の通り、軽油は灯油よりも沸点が高く(約200℃〜350℃)、重い炭化水素を含んでいます。これを灯油用の気化器に送り込むと、ヒーターの設計温度では燃料が十分に気化しきれません。

その結果、気化器内部で激しい不完全燃焼が発生します。給油してしばらくすると、送風口から猛烈な異臭とともに目を開けていられないほどの黒煙と煤(すす)が噴出し、部屋中が煤だらけになります。さらに恐ろしいのは、不完全燃焼に伴って高濃度の一酸化炭素(CO)が急速に発生することです。気密性の高い現代の住宅において軽油ヒーターを作動させる行為は、室内で練炭を燃やすのと同等の生命危機に直結します。

また、気化しきれなかった軽油の重質成分はタール状に固着して気化器の内部流路を完全に閉塞させます。最悪の場合、タールに引火してヒーターの内部から激しい炎が吹き出し、家屋を全焼させる火災事故へと発展した事例が独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)などからも多数報告されています。「少し灯油が混ざった程度だから」と、軽油で汚染されたポリタンクの灯油をストーブに使用することも絶対に避けなければなりません。

こうした取り返しのつかない事故を防ぐため、資源エネルギー庁および給油機メーカーの業界基準により、ガソリンスタンドでの給油ノズルの色の見分け方は全国で厳格に統一されています。

街のセルフスタンドで採用されている給油ノズルの識別色は以下の通りです。

  • 緑色:軽油(ディーゼルエンジン車専用)
  • 赤色:レギュラーガソリン(一般的なガソリン車用)
  • 黄色:ハイオクガソリン(高オクタン価ガソリン指定車用)
  • 灯油:別レーンの専用給油機(赤や青のノズル、または専用ブースで販売)

灯油は消防法上、自動車の燃料タンクへ直接給油するノズルと同じアイランドには設置されておらず、利用客が持ち込んだJIS規格適合のポリタンク(東日本で主流の赤色、西日本で主流の青色、または遮光性能を持つ白色タンク)へ充填するための別区画に配置されています。「緑のノズルは軽油、灯油はポリタンク」という基本原則を徹底するだけで、大半の誤給油ヒューマンエラーは未然に防ぐことが可能です。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。