テレビシリーズ放送当時、視聴者の間で最も多くの議論と考察を呼んだのが「大人の桜井侑斗」と「若き桜井侑斗」の正体と関係性です。
物語の起点となる大人の桜井侑斗は、野上良太郎の実姉である野上愛理の婚約者でした。天文学を愛し、優しく温厚な性格で、良太郎にとっても理想の兄のような存在でした。しかし、彼と愛理の間に宿る「未来への希望(分岐点の鍵=ハナ)」をイマジンたちの破壊工作から守るため、大人の桜井は自らの存在を歴史から消し去り、時間の中を逃亡し続けるおとり役を買って出たのです。
一方、物語本編でゼロノスとして戦う若き侑斗は、19歳当時の彼自身を大人の桜井が過去から連れてきた存在です。若き侑斗は、未来の自分が愛理と婚約することや、彼女を愛しているという実感を持ち合わせていません。しかし、「未来の自分が愛した女性と世界を守る」という理不尽極まりない使命を受け入れ、過酷な戦場へと身を投じました。
この二人の相違点こそが、小林靖子氏の描く脚本の白眉です。大人の桜井が持つ「完成された大人の責任感」と、若き侑斗が持つ「不器用だが真っ直ぐな正義感」。同じ魂を持ちながらも異なる時間軸を生きる二人が交錯することで、作品に重厚なミステリーとドラマチックな厚みがもたらされました。