ネット上の掲示板や知恵袋などで散見されるのが、「西村早生を買ったのに渋くて食べられなかった」という声です。甘柿として販売されているはずの果実がなぜ渋いのか、そこには不完全甘柿特有の自然現象が関係しています。
西村早生が甘くなるためには、前述の通り「果実の中に種が複数入ること」が絶対条件となります。しかし、春の開花期に長雨が続いてミツバチなどの訪花昆虫が十分に活動できなかったり、周囲に受粉樹となる雄花が不足していたりすると、受粉が不完全になり、種が1個しか入らなかったり全く入らなかったりする果実が発生します。
その結果、以下のような現象が起こります。
- 片側だけ渋い(部分渋):種が偏って入った場合、種がある半分はゴマが入って甘くなり、種が入らなかった反対側はゴマが入らず渋いまま残る。
- 全体が渋い(完全渋):種が1つも入らなかった場合、果肉全体にゴマが入らず、完全な渋柿の状態のまま色づいてしまう。
現代の選果場では光センサーによる透過選別や糖度測定が行われていますが、外見だけでは果肉内部の種の入り具合を100%判別しきれないケースもあります。そのため、ごく稀に渋みが残った個体が店頭に並ぶことがあります。