2011年4月に発生した食中毒事件は、日本社会に底知れぬ恐怖を与えた。店舗で提供された生肉のユッケを食べた利用客が次々と重症化。腎機能の全廃や脳症状を引き起こす恐ろしい事態へと発展した。
事件の発端となったのは、卸業者からの仕入れルートと店側での生肉の取り扱い体制だ。表面の加熱処理を行わずに客へ提供していた運用が発覚し、批判の矢面に立たされたのが当時社長を務めていた勘坂康弘氏だった。記者会見で見せた逆ギレとも取れる姿勢と、その直後の劇的な土下座。あの映像は情報番組で連日放送され、茶の間に強烈なトラウマを残した。
この惨事は、単なる一企業の衛生管理不足にとどまらない。当時、法的な基準が曖昧だった生用食肉の流通構造そのものに潜む危険性を浮き彫りにしたのである。