終末期に家族ができることとは?後悔なき看取りの準備と声かけの真実

終末期に家族ができることとは?後悔なき看取りの準備と声かけの真実

終末期に家族ができることとは?後悔なき看取りの準備と声かけの真実について押さえておきたい 注意点を分かりやすく解説いたします。

終末期医療の領域には、一般社会やインターネット上で根強く信じられている致命的な誤解がいくつか存在します。これらの誤解を放置したまま看取りに臨むと、家族は激しい罪悪感を背負うことになります。

代表的な誤解の一つが、「点滴を中止・減量することは、見殺しにすることと同じである」という思い込みです。末期がんや老衰の最終段階では、心臓や腎臓の機能が著しく低下しています。この状態で健常時と同じペースで輸液を行うと、余分な水分が体内に溜まり、肺に水が溜まる(肺水腫)、手足が風船のように腫れる、気道分泌物が増加して激しい呼吸苦を生じるといった弊害を引き起こします。日本緩和医療学会のガイドラインでも、終末期の輸液制限は患者の苦痛を最小限に抑えるための積極的な医療判断であると明記されています。点滴を絞ることは、決して見捨てることではありません。

もう一つの誤解は、「苦しそうな呼吸をしている本人は、地獄のような苦痛を味わっている」という推測です。下顎呼吸や死前喘鳴の音は、周囲で見守る家族にとっては非常に痛々しく映ります。しかし、この段階では二酸化炭素の蓄積(炭酸ガスナルコーシス)や代謝不全により、脳の意識レベルは自然な深い麻酔状態に陥っています。つまり、外見上は喘いでいるように見えても、本人は苦しさを自覚していません。この医学的事実を主治医から事前に説明されていない家族ほど、「苦しませて死なせてしまった」という長年のトラウマに苦しむ傾向があります。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。