なぜ人は、あまりにも愛おしい存在に対して「噛みつきたい」「食べちゃいたい」といった破壊的とも言える衝動を抱くのだろうか。その心理の裏側には、人間の脳が備える高度な感情コントロール機能が隠されている。
感情がポジティブな方向へ極端に振れ切ったとき、脳はその過剰なエネルギーによって精神的なバランスを崩さないよう、真逆のニュアンスを持つインパルスを意図的に発生させる。喜びや愛おしさが許容量をオーバーフローしそうになった際、無意識のうちに相反する刺激を混ぜ合わせることで、破綻を防ごうとする防衛反応なのだ。あまりの愛らしさに直面したとき、胸が締め付けられるような切なさや意地悪をしたくなる衝動が込み上げるのは、心が崩壊しないための正常なブレーキ作用と言える。