「吐けない吐き気」を少しでも和らげるための実践的な方法を、医学的根拠を交えて紹介する。ただし、これらはあくまでも応急処置であり、吐き気が48時間以上続く場合は必ず医療機関を受診してほしい。
① ツボ押し(内関穴)
手首の内側、手首の横じわから指3本分ひじ側にある「内関(ないかん)」というツボは、WHO(世界保健機関)が吐き気・乗り物酔いへの有効性を認めているツボの一つだ。親指で3〜5秒プッシュし、5秒間隔で繰り返す。乗り物酔い対策グッズの「シーバンド」はこの原理を応用したものだ。
② 姿勢の変更
横になることで胃酸の逆流を防ぎやすくなる。ただし、完全に仰向けになるのではなく、上半身を15〜30度程度起こした状態(セミファウラー位)が最も効果的とされる。GERDによる吐き気には特に有効だ。
③ 深呼吸・腹式呼吸
ゆっくりした腹式呼吸は副交感神経を優位にし、胃腸の過度な緊張を和らげる。鼻から4秒かけて吸い、口から8秒かけて吐く。自律神経失調症やストレス性の吐き気に特に効果的だ。
④ 生姜(ショウガ)の摂取
生姜に含まれるジンゲロールとショーガオールは、胃腸の蠕動運動を正常化し、CTZへの刺激を軽減する作用が複数の臨床研究で確認されている。生姜湯・生姜入りのお茶・市販の生姜飴などが手軽な選択肢だ。妊娠悪阻への使用も一部の医療機関で推奨されている(ただし妊娠中は必ず産婦人科医に相談すること)。
⑤ 冷たいタオルを首・額に当てる
冷感刺激は迷走神経を介して嘔吐中枢の興奮を弱める効果があるとされる。特に顔面蒼白・冷や汗を伴う乗り物酔い型の吐き気に即効性が高い。
⑥ 水分補給(少量ずつ)
脱水は吐き気を悪化させる悪循環を生む。一度に大量に飲むのは逆効果で、5〜10mlを2〜3分おきにちびちびと飲むのが正解。経口補水液(OS-1など)は胃腸炎・妊娠悪阻による脱水予防に特に有効だ。
⑦ 換気・新鮮な空気
閉め切った部屋の匂い(食べ物臭・香水・タバコ)がCTZを刺激するケースは意外に多い。窓を開けるか、外に出て新鮮な空気を吸うだけで劇的に楽になることがある。