スキャンダルの渦中に巻き込まれながらも、細木数子という人物が遺したインパクトは計り知れません。1980年代に生み出された『六星占術』は、運気の浮き沈みを「大殺界」などのキャッチーな言葉で定義し、関連書籍の累計発行部数は1億冊を優に突破。ギネスブックに「世界一の占い本」として認定されるほどのメガヒットを記録しました。
しかし、2008年を境に彼女は突如としてレギュラー番組を降板し、表舞台から姿を消します。表向きは「本業である占いの勉強に専念するため」と説明されましたが、週刊誌による熾烈なネガティブキャンペーンとスポンサー離れが決定打であったことは公然の秘密でした。
その後、細木氏は静かに余生を過ごし、自身の活動の後継者として養子縁組を結んだ姪の細木かおり氏に六星占術の看板を継承。そして2021年11月8日、呼吸不全のため都内の自宅で83年の生涯に幕を閉じました。昭和の暗渠から這い上がり、平成のテレビ界の頂点を極め、凄まじいスキャンダルの銃撃戦を浴びて去っていったその人生は、まさに虚実皮膜の怪物そのものでした。