インターネット上の掲示板やSNSで飛び交う「Onスニーカーはサイズ感が小さめ」という言説は、結論から言えば単なる主観的な噂ではなく構造的な事実です。普段履いているコンバースのオールスターやナイキのエアフォース1、あるいはニューバランスのスタンダードモデルと同じ感覚でサイズを選ぶと、足を入れた瞬間に強い圧迫感を覚えるケースが多発しています。
最大の要因は、Onが採用しているラスト(木型)の規格にあります。欧州スイスでアスリート向けに誕生したOnのシューズは、足全体のブレを極限まで抑えて推進力へ変換するため、足幅(ワイズ)が欧米基準の「Dワイズ」前後でタイトに絞り込まれています。これに対し、経済産業省のサイズ基準やJIS規格が示す日本人成人の平均的な足幅は「2E〜3E」相当です。足長(レングス)の数値自体は同一であっても、横幅と甲の高さ(甲周り・ガース)に明確なギャップが存在するため、Onスニーカー 普段のサイズをそのまま選ぶと「全体的に小さく窮屈」に感じてしまいます。
さらに、Onのアイデンティティである独自のソールプレート「Speedboard(スピードボード)」の存在も見逃せません。踏み込んだ際にプレートがしなって強い反発力を生む構造上、つま先部分の「捨て寸(つま先のゆとり)」が1.0〜1.5cm程度確保されていないと、足指が屈曲するたびにアッパー先端へ爪先が衝突します。この生体力学的なアプローチを知らずにジャストサイズを購入してしまうことこそが、購入後の違和感を生み出す最大のトリガーとなっています。