キズパワーパッドの優れたポテンシャルを100%引き出し、傷跡を残さず治癒へ導くためには、最初の処置から貼り替えに至る全工程で「やってはいけないNG行動」を排除しなければなりません。
第一の鉄則は、「消毒液を絶対に使わない」ことです。かつての常識であったマキロンなどの消毒薬は、侵入した細菌だけでなく、傷を治そうと働く正常な細胞や成長因子まで無差別に破壊してしまいます。受傷時は、患部を清潔な水道水の流水で最低30秒間徹底的に洗い流し、異物(砂やホコリ)を物理的に洗い落とすだけで十分です。
第二の鉄則は、「水分を完全に拭き取り、手で温めて貼る」ことです。傷の周囲に水分や油分、軟膏が残っていると接着強度が著しく低下します。水分を拭き取った後、パッドを両手の手のひらで1分間挟んで人肌に温めることで、ハイドロコロイドの柔軟性が増し、皮膚の細かなキメに強力に追従します。貼り付けた後も上から1分間手のひらで患部を覆い、密着度を高める工程を省いてはなりません。
剥がす際も細心の注意が必要です。一般的な絆創膏のように真上に勢いよく引き剥がすと、再生途中の繊細な表皮まで一緒にベリッと剥ぎ取ってしまい、治癒期間を逆戻りさせる悲劇を招きます。「皮膚と平行に、端からゆっくり横に引っ張りながら伸ばす」ようにして剥がすと、粘着面が自然に浮き上がり、新生組織にダメージを与えず痛みなく取り外せます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
極めて有用なキズパワーパッドですが、すべての創傷や体質に万能であるわけではありません。自身の状態を冷静に査定し、使用の可否を判断するリテラシーが求められます。
【キズパワーパッドが最も適している人】
・刃物や紙で直線的に切った浅い切り傷を、目立たない一本線として治したい人
・アスファルトやフローリングで擦りむき、痛みを伴う摩擦刺激から患部を守りたい人
・靴擦れを保護し、翌日以降も歩行時の強い圧迫痛を遮断したい活動的な人
・水仕事や入浴時、傷口を絶対に水に濡らしたくない環境にある人
【使用を厳重に避けるべき・医師の診察を優先すべき人】
・糖尿病や血行障害、免疫不全の基礎疾患がある人:血流低下により局所感染のリスクが極めて高く、密閉によって重篤な潰瘍化を招く恐れがあります。
・錆びた釘を踏んだ、動物や人に噛まれた人:深部に嫌気性菌(破傷風菌やパスツレラ菌など)が入り込んでいる可能性が高く、密閉すると菌が爆発的に増殖します。
・受傷から時間が経過し、すでに乾燥してかさぶたができている人:乾いた組織の上から密閉しても湿潤環境は再生せず、剥がす際にかさぶたを壊すリスクしかありません。
・ニキビや湿疹、虫刺され、水虫などの皮膚疾患部位:ウイルス・細菌感染やアレルギー反応を悪化させるため、創傷用ハイドロコロイドの適応外です。