臨床現場や医療機関が公開する溝状舌の症例画像を確認すると、溝の走り方や深さには明らかな個人差が存在します。医学的には舌の奇形や形態異常に分類されますが、病気というよりは「生まれ持った舌の個性や形状のバリエーション」と捉えられます。国内外の疫学調査データによれば、全人口の約5%から20%に何らかの溝状変化が認められると報告されており、決して珍しい現象ではありません。
溝状舌の写真や臨床所見を精査すると、主に以下の3つのパターンに大別されます。
第1に最も頻度の高い「正中型」です。舌の真ん中を通る正中縫合に沿って、縦に1本の深い谷が一本線のように走る形態を指します。深さは数ミリメートル程度であることが多く、無症状のまま生涯を過ごす人も珍しくありません。
第2に「葉脈型(羽状型)」と呼ばれる形態です。正中の縦溝から左右の外側に向かって、まるで木の葉の葉脈のように斜めの溝が無数に枝分かれして広がります。溝が広範囲に及ぶため、乾燥や刺激物による違和感を自覚しやすい傾向があります。
第3に「網状・不規則型」です。縦横無尽に細かな亀裂が走り、舌全体がひび割れた大地のような様相を呈します。後述する「地図状舌」を併発しているケースでもよく観察されるタイプです。