畜産の現場において、豚の体脂肪率は「偶然15%になった」わけではありません。日本の高度な品種改良と飼養管理技術が、計画的にこの数値を導き出しています。
現在の養豚業界では、豚を生かしたまま正確に体組成を測る「超音波(エコー)測定装置」が普及しています。最も重視されるのは「P2」と呼ばれる基準部位(第10〜11胸椎、または最終肋骨から背骨に沿った一定の位置)の背脂肪の厚みです。超音波プローブを背中に当てることで、皮膚、脂肪層、ロース芯(胸最長筋)の境界面で反射するエコー信号を解析し、脂肪の厚みをミリ単位で可視化します。
なぜここまで厳密に測定するのかといえば、豚肉の格付け基準と密接に直結しているからです。日本食肉格付協会の基準では、枝肉の重量とともに背脂肪の厚さが「極上」「上」「中」「並」を分ける最重要項目となっています。例えば、一般的な枝肉重量(約75kg前後)において、背脂肪の厚さが1.5cm〜2.5cmの適正範囲に収まっているものが最高ランクとされます。
脂肪が薄すぎると、肉質はパサつき、保水性やジューシーさが失われます。逆に脂肪が厚すぎれば、歩留まり(可食部分の割合)が悪化して余分な脂をトリミングする手間が増え、市場評価は暴落します。赤身肉の旨味を最大限に引き出しつつ、適度なコクを与える融点の低い脂をバランスよく乗せるための「至高の着地点」こそが、体脂肪率換算で約15%前後なのです。