日本うつ病学会の最新治療ガイドラインにおいても、双極性障害の治療における大原則は「薬物療法を中心とした再発予防の維持」です。うつ病と異なり、双極性障害は精神療法単独で寛解状態を維持することは極めて困難とされています。
基軸となるのは、古典的でありながら今なお再発予防・自殺予防において最も強固なエビデンスを持つ炭酸リチウムをはじめとする気分安定薬(バルプロ酸、ラモトリギン)です。これに加え、近年はオランザピンやクエチアピン、ルラシドンといった非定型抗精神病薬が、急性期躁状態および双極性うつ病の治療薬として標準的に処方されています。
治療を成功させるための鍵は、寛解期(症状が落ち着いている時期)に入っても自己判断で服薬を中断しないことです。双極性障害の再発率は生涯で90%以上に達すると言われており、服薬の中断は再発の最大のリスク要因となります。あらかじめ「眠りが浅くなる」「特定の音楽を聴き続ける」といった個別の再発予兆サインを医師と共有し、サインが現れた段階で迅速に薬の用量を調整するプロトコルを確立することが重要です。