放映から長い年月が経った現在も、舞台となった高知県高知市を訪れる聖地巡礼者は後を絶ちません。作中に登場するロケーションの多くが実在し、当時の面影を色濃く残している点もファンを惹きつける大きな要因です。
- 高知城・追手門:松野が里伽子を連れて行った場所であり、拓と松野が本音を語り合う重要な舞台。夜のライトアップは作中そのままの幻想的な美しさを誇ります。
- 帯屋町アーケード:拓たちが日常的に歩いた高知市の中心商店街。地方都市の活気と日常の匂いが息づくスポットです。
- はりまや橋:高知の象徴的な名所として作中にも自然に登場。観光地としてのリアリティを演出しています。
- 鏡川の土手:夕景や夜風を感じながら高校生たちが歩いた河川敷。青春の叙情詩を追体験できるファン必訪の場所です。
一方で、視聴者から頻繁に上がるのが「なぜ『金曜ロードショー』で放送されないのか」という疑問です。日本テレビ系『金曜ロードショー』といえばジブリ作品の定番放送枠ですが、『海がきこえる』が同枠でオンエアされた履歴はほぼ皆無に等しい状態です。1993年5月5日に特番として放送された後、深夜帯や単発での再放送がごく稀にあった程度にとどまっています。
その背景には、劇場公開用長編ではなく約72分のテレビスペシャルという特殊な尺(放送枠に収める調整が難しい)であることや、宮崎・高畑両監督の作品群を優先して編成する番組方針が関係していると推測されます。しかし、地上波でめったに見られない希少性こそが、本作のカルト的な人気と神格化をさらに後押ししているとも言えます。