席が取れない――その理由は、厨房を仕切るオーナーシェフの狂気とも言えるこだわりにある。フランス料理業界に新風を吹き込んだ彼の哲学は、伝統的な手法に固執せず、食材の持つ潜在能力を分子レベルで引き出す「イノベーティブ・フレンチ」の探求だ。
毎朝全国の契約農家や港から届く新鮮な素材は、シェフの緻密な計算のもとで調理される。火入れの温度、素材同士の組み合わせ、さらには提供される瞬間の香りまで計算し尽くされた料理は、まさにアートそのもの。『ミシュランガイド』の調査員をも唸らせた一皿一皿には、妥協を一切許さない美学が宿っている。