頭皮を指先やブラシで触れた際に走る痛みの原因は、大きく分けて「末梢神経の刺激・圧迫」と「皮膚組織の炎症」の2系統に分類されます。それぞれの特徴を知ることで、危険な兆候をいち早く見極めることが可能です。
まず、皮膚の表面には異常が見当たらないにもかかわらず、髪の毛を軽く引っ張ったり頭皮をなでたりしただけで激痛が走る場合、最も疑われるのが後頭神経痛(こうとうしんけいつう)です。首から後頭部、頭頂部にかけて走行する大後頭神経・小後頭神経・大耳介神経が、筋肉のコリや姿勢不良によって圧迫されることで発生します。瞬発的な「ピリピリ」「チクッ」「ズキズキ」とした痛みが片側に現れるのが典型例です。
一方で、赤みやブツブツを伴う場合は、毛根を包む組織に黄色ブドウ球菌などが感染する毛嚢炎(もうのうえん)や、皮脂分泌のバランス崩壊による頭皮湿疹、アレルゲンや刺激物質が引き金となる接触皮膚炎が考えられます。「シャンプーが合わない」「整髪料のすすぎ残しがある」といった日々の外的刺激が、バリア機能を低下させて炎症を引き起こします。
さらに見逃してはならないのが帯状疱疹(たいじょうほうしん)の初期兆候です。体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが、免疫力の低下を機に再活性化して神経を攻撃します。水疱(水ぶくれ)や赤い発疹が出現する数日前から、頭皮の片側だけに焼け付くような痛みや強いピリピリ感が生じるのが特徴です。発症後72時間以内の抗ウイルス薬投与が生涯残る神経痛リスクを左右するため、最も警戒すべき病態といえます。