多くの体験ブログで語られる「想像以上の痛み」という表現には、明確な医学的根拠が存在します。患者の多くは「お腹に数箇所、5ミリから1センチ程度の小さな穴を開けるだけ」という事前説明から、虫垂炎や軽微な内視鏡処置と同程度の痛みを想像しがちです。しかし実際には、腹腔鏡下子宮全摘術術後経過ブログを精読すると、体外の傷跡の小ささと体内の切除範囲の広さの間に大きな認識のズレがあることが浮き彫りになります。
第一に、子宮全摘術後の痛み耐えられない理由として挙げられるのは、子宮本体を支持靭帯から切り離し、子宮動脈を結紮(けっざつ)した上で腟最深部(腟断端)を切開・縫合するという高度な体内処置です。体表の創部は小さくとも、骨盤腔の深部には広範囲な創傷面が形成されており、麻酔が切れるとともに強い内臓痛と炎症性疼痛が生じます。
第二の要因であり、多くの体験者が「最大の伏兵」と表現するのが、腹腔鏡手術術後ガス痛肩の痛みの真相です。腹腔鏡手術では視野を確保し手術空間を作るため、腹腔内に二酸化炭素(炭酸ガス)を注入して膨らませます(気腹)。手術終了時にガスは可能な限り体外へ排出されますが、残留した微量のガスが横隔膜直下に滞留します。このガスが横隔膜を圧迫・刺激すると、横隔神経を経由して感覚神経が共有されている肩や首の周囲に激しい放散痛(関連痛)を引き起こします。「お腹を切ったはずなのに、なぜか肩を金づちで殴られたような激痛が走る」という想定外の部位の痛みが、患者の心理的パニックを加速させる主因となっています。