インターネットの掲示板やSNS上では、「日本の動物園でフィリピンイーグルを見た」「上野や多摩に行けば会えるのか?」といった書き込みが散見されます。しかし、生物調査報道の観点から明確に事実をお伝えすると、現在、日本国内のいかなる動物園・保護施設にもフィリピンイーグルは展示・飼育されていません。
なぜ日本国内で見ることができないのか、そこには法制面と国家的な厳格な理由が存在します。
フィリピンイーグルはワシントン条約(CITES)の「附属書I」に分類され、商業目的の国際取引が完全に禁止されています。さらに1995年、フィリピン政府は本種を公式に「国の象徴(国鳥)」に指定し、国家最高レベルの天然記念物として厳格に保護しています。万が一密猟や殺傷を行った場合、フィリピン国内法により最大12年の禁錮刑および重額の罰金が科されるほどです。
国外の施設への移送は、外交的な保全共同研究プロジェクトなどの極めて例外的なケースに限られます。過去にシンガポールのマンダイ・ワイルドライフ・リザーブ(旧ジュロン・バードパーク)へ保護・研究目的でペアが貸与された事例があるのみで、日本国内への導入実績はありません。「日本の動物園で見た」という目撃談の多くは、同じく巨大な冠羽を持つオウギワシや、国内で飼育されているオオワシ、シロハラウミワシなどとの誤認です。
本物の姿をその目に焼き付けたいのであれば、フィリピン・ミンダナオ島ダバオ市郊外にある「フィリピンイーグルセンター(Philippine Eagle Center)」を訪れるのが唯一確実な手段です。ここはフィリピンイーグル財団(PEF)が運営する研究・保護施設であり、怪我から救出された個体や人工繁殖によって誕生した個体が自然に近い環境で保護・飼育されています。