順風満帆に見えたバンドの航海は、2021年に突如として暗礁に乗り上げる。メジャーの最前線で脚光を浴び、誰もが次の快進撃を疑わなかった矢先、予期せぬ事態によって活動休止を余儀なくされた。メジャーデビュー作の出荷停止、予定されていた大型タイアップの白紙化。眩いスポットライトから一転、バンドは一瞬にして深い闇へと突き落とされた。
「すべてが終わったかもしれない」という絶望的な空気のなか、今村怜央を支えたのは音楽そのものへの執念だった。契約を結ぶソニー・ミュージックエンタテインメントのスタッフとの対話、そして何より自分たちの音を待つリスナーへの責任感。彼は立ち止まることなくスタジオに籠もり、怒りや悔しさ、祈りにも似た感情をすべて五線譜とリリックに叩き込み続けた。約半年間の沈黙を経て果たされたALIの復活劇。それは単なる活動再開ではなく、傷だらけの男たちが再び自らの存在意義を世界に証明するための、覚悟に満ちた再出発だった。