黄猿の最大の特徴は、その掴みどころのない性格だ。「どっちつかずの正義」を掲げ、のらりくらりと任務をこなす。しかし、その実力は圧倒的。この二面性こそ、田中邦衛という役者が得意とした「人間の割り切れなさ」の表現と見事に合致する。
単なる絶対悪でもなければ、勧善懲悪のヒーローでもない。組織の歯車として葛藤し、時には冷酷な判断を下しながらも、かつての友や部下への情を捨てきれない黄猿の姿。読者はそこに、かつて田中氏が演じた数々の泥臭くも愛おしい人間たちの面影を見てしまうのだ。ただの強いキャラクターで終わらせない深みが、そこにはある。