ネット上の株式掲示板やSNSで散見される最大の誤解が、「電気自動車(EV)が普及するとエンジン用ベアリングが不要になり、NTNの需要は激減する」という短絡的な衰退論です。しかし、自動車工学および現場の部品調達データを検証すると、実態は全く異なります。
確かにトランスミッションやエンジン内部の微小な軸受は減少します。しかし、車輪を支え回転を伝える「ハブベアリング」や駆動力をタイヤに送る「ドライブシャフト(等速ジョイント)」は、EVであっても車1台あたり同数(あるいはそれ以上)が必ず搭載されます。
さらに注目すべきは、製品単価と要求技術の高度化です。EVは車両重量がバッテリーによって重くなり、モーター特有の瞬時最大トルクがかかるため、ベアリングにはより高い強度、軽量化、そして静粛性が求められます。加えて、モーターの高電圧による電蝕(スパークによる破損)を防ぐセラミック球採用ベアリングや絶縁コーティング技術など、高付加価値な先端製品への置き換えが進んでいます。量より質へのシフトこそが、今後の同社のマージン改善を牽引するドライバーです。