一方、従兄弟である四代目市川猿之助は、伯父である二代目猿翁が切り拓いた革新路線をさらに推し進めた。その集大成が、大ヒット漫画を舞台化した『スーパー歌舞伎II ワンピース』である。
従来の歌舞伎ファンだけでなく、これまで劇場に足を運んだことのなかった若い世代を熱狂させ、劇場を満員にし続けた。宙乗りやプロジェクションマッピングを駆使したド派手な演出と、古典芸能の骨太な演技を融合させた舞台は、現代エンターテインメントとしての歌舞伎の可能性を決定づけた。
これらの革新的な舞台公演は、後にNetflixやU-NEXTといった動画配信プラットフォームでも広く流通し、劇場文化の枠を超えた広がりを見せた。伝統に安住せず、常に新しい表現を求めた四代目猿之助の挑戦は、澤瀉屋の屋号を21世紀のカルチャーシーンの最前線へと押し上げたのである。