ビジネスの現場やSNS上では長年、「仕事に感情を持ち込むな」「ポーカーフェイスこそがプロフェッショナル」という規範が支配的でした。しかし、オープンイノベーションやアジャイル開発が前提となった現在、その潮目は劇的に変化しています。
大手IT企業や成長著しいスタートアップのマネジメント層を対象にした取材では、「喜怒哀楽を適切に開示しないリーダーのもとでは、チームの心理的安全性が崩壊する」という証言が相次いでいます。部下の成功を本気で「喜」び、理不尽な事態や倫理違反には毅然と「怒」り、困難には率直に「哀」しみや悔しさを共有し、仕事のプロセスそのものを「楽」しむ――こうした人間味のあるオーセンティック(本物)なリーダーシップこそが、エンゲージメントを高める決定打となっているのです。
ネット上の掲示板やSNSの声を見ても、「上司が無表情すぎて常に怒られている気がして胃が痛い」「喜怒哀楽がない人と働くと、AIと仕事をしているようで孤独を感じる」という悲痛な吐露が目立ちます。ロボットのように感情を押し殺すことは、もはや美徳ではありません。「中庸」の教えが説くように、湧き上がる感情を殺さず、過不足なく周囲と調和させる「感情の適切なハンドリング」こそが、真のビジネススキルとして評価されています。