世界的な評価を確立している映画監督・黒沢清がメガホンを取り、日本を代表する名優・役所広司が主演を務めるという座組みの存在が、今回の取材で確実なものとなった。二人がタッグを組むことで生み出されるのは、単なる怪獣映画的なパニックではない。目に見えない気配に侵食されていく人間の精神の崩壊を描く、極上のサスペンス・スリラーだ。
役所が演じるのは、過去のトラウマを抱えながら森の深部へと足を踏み入れるベテラン調査員。黒沢監督特有の、画面の隅に潜む「何か」を意識させる不穏な構図が、観客の心拍数をじわじわと跳ね上げる。日常が音を立てて崩壊していくあの独特の肌触りが、大自然の静寂の中で研ぎ澄まされている。