ネット空間で「黒塗りのセダン」といえば、多くのユーザーが特定の定型文(コピペ)を連想します。いわゆる「疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう」というネットスラングです。
この表現の元ネタは、2001年にリリースされた男性向け成人ビデオレーベル(コートコーポレーション)の作品『Babylon STAGE 34 真夏の夜の淫夢 the IMP』の第4章冒頭ナレーションに由来します。劇中で主人公たちが過失事故を起こし、車から降りてきた強面の人物に理不尽な示談条件を突きつけられるという導入展開が、2000年代半ばから『2ちゃんねる(現5ちゃんねる)』や『ニコニコ動画』を通じて爆発的に拡散されました。
ネット社会学の観点から見ると、このフレーズが20年以上風化せずに使われ続ける理由は、「日常のふとした油断から、取り返しのつかない絶対的強者(アンタッチャブルな存在)と接触してしまう不条理の恐怖」を完璧に言語化しているためです。現代のSNS(Xなど)においても、不可抗力なトラブルや理不尽な災難に巻き込まれた際の比ゆ表現として、日常的なネットミームの一角を占めています。