シブがき隊を語る上で避けて通れないのが、活動中期から解散に至るまで週刊誌を賑わせ続けた「不仲説」です。「移動車では一切口を利かない」「楽屋では3人が別々の方向を向き、マネージャーを介してしか会話をしなかった」という噂は、都市伝説ではなく彼ら自身が後にテレビ番組の特番などで認めた紛れもない事実でした。
しかし、これを短絡的な「喧嘩別れ」や「人間的な嫌悪」と断定するのは早計です。思春期の多感な時期に集められ、プライベートも睡眠時間すらもない極限のスケジュールを共有する中で、彼らは互いを過剰に侵食しないための防衛本能として「無言の距離」を選択しました。言わば、心理的バウンダリー(境界線)を極限まで厳格に引くことによって、グループの崩壊を防いでいたのです。
家族でも単なる友達でもなく、「高度な共同プロジェクトを推進するビジネスパートナー」としての割り切り。この冷徹なまでのプロ意識があったからこそ、カメラが回れば完璧なチームワークで歌い踊り、ステージ上では息の合ったパフォーマンスを成立させることができました。表面的な「仲良しごっこ」を拒絶した点に、彼らの早熟なリアリズムが存在していたといえます。