1972年2月19日に東京都で生を受けた大森南朋ですが、最初から俳優を志していたわけではありませんでした。10代後半から20代前半にかけて熱中していたのは音楽であり、ロックバンドのボーカル兼ギタリストとしてステージに立つバンド時代を過ごしていました。
プロのミュージシャンとして成功することを夢見てライブハウス通いを続けていたものの、音楽業界の壁は厚く、現実は過酷でした。当時の生活実態は、家賃を払うのもやっとという困窮したもので、居酒屋の厨房や清掃などのアルバイトを掛け持ちしながら食いつなぐ過酷な下積み時代が長く続きました。
転機が訪れたのは21歳の時でした。1993年公開のオムニバス映画『サザン・ウィンズ 日本編 トウキョウ・ゲーム』でスクリーンデビューを飾ります。しかし、すぐに仕事が舞い込むことはなく、エキストラ同然の端役や低予算のVシネマ、小劇場の舞台を地道に這い上がる日々が20代後半まで続きました。当時の苦境について、大森は後に「役者として食えるようになるビジョンなど全く見えず、毎日が焦燥感の連続だった」とリアルな葛藤を明かしています。