インターネット上の掲示板やSNSでは、医学的根拠に乏しい俗説が拡散され、患者の不安を不必要に煽る要因となっています。医療現場の視点から、特に多くみられる3つの誤解を正しく是正します。
第一の誤解は、「不正出血が起きている間は避妊効果が消えている」という言説です。飲み忘れがなく、毎日定刻通りにシートを進めている限り、少量の出血があっても排卵抑制作用と頸管粘液の粘度上昇による避妊効果は保たれています。出血は子宮内膜の表面が剥がれているだけであり、排卵が再開した証拠ではありません。ただし、前述の通り「飲み忘れが原因で出血した」場合は話が別であり、避妊効果が減弱しているため、7日以上連続して正しく実薬を服用できるまではコンドームなどの物理的避妊を併用する必要があります。
第二の誤解は、「出血したから身体に毒だと思い、自己判断でその日のうちに服用をやめてしまう」という行動です。これは最も事態を悪化させる典型的な失敗パターンです。服用を途中でやめると、支えを失った子宮内膜が一気に全層崩壊を起こし、通常よりもはるかに重く長期化する「大出血」と強烈な月経痛を誘発します。出血が気になっても、医師から明確な指示が出るまでは処方通りの内服を維持するのが鉄則です。
第三の誤解は、「出血の色が濃いほど病気が重い」という思い込みです。先述の通り、暗褐色や茶色のおりものは出血速度が遅く、量がごく微量である証拠にすぎません。むしろ、鮮やかな真っ赤な血液が勢いよく出続ける状態こそが、現在進行形で活動性の血管破綻が起きている危険なシグナルです。