小学校で慣れ親しんだソプラノリコーダーと、中学校で導入されるアルトリコーダー。見た目のサイズ感以外に、演奏者を最も混乱させるのが楽器の基準音(調性)の違いです。この構造を理解しないまま練習を続けても、指使いの習得速度は著しく低下します。
ソプラノとアルトリコーダーの違いにおける根幹は、管の長さと基本調です。ソプラノリコーダーはすべての指穴を塞ぐと「ド(C5)」が鳴る「C管(ハ長調)」ですが、アルトリコーダーはすべて塞ぐと「ファ(F4)」が鳴る「F管(ヘ長調)」として設計されています。つまり、ソプラノで「ド」を出していた指の形のままアルトリコーダーを吹くと、実際には「ファ」の音が鳴る仕組みです。
ここから導き出されるアルトリコーダーF管音域は、最低音のF4(中央ハのすぐ下のファ)から、約2オクターブ半上のC7付近までにおよびます。低音域の深みのある柔らかい音色が特徴ですが、中学生がつまずくのは楽譜の読み方です。中学校の音楽科では、楽譜に書かれた音符(実音)をそのまま運指に直結させて覚える「実音読み」が指導されます。
混乱を防ぐアルトリコーダー運指の覚え方として有効なのは、ソプラノの感覚を一度リセットし、「左手の親指と人差し指・中指・薬指の3本を塞ぐ形(ソプラノのソの形)=ドの音」というように、主要な基準音(F・C・F)をアンカー(目印)にして指の位置関係を相対的に身体へ刷り込んでいくアプローチです。