王騎が馬陽の戦いに総大将として出陣した背景には、個人的な深い因縁と情愛が存在していました。それは、かつて秦国を中華最強へと導いた「戦神」こと昭王(しょうおう)の時代にまで遡ります。
王騎の屋敷で幼少期を過ごし、王騎の妻になることを夢見て戦場を駆け上がった女性武将が「摎」でした。彼女は「城を百個取ったら妻にしてください」と王騎と約束を交わし、破竹の勢いで武功を重ね、昭王の実の娘であることを隠したまま秦国六大将軍の最後の一人に上り詰めます。
しかし、記念すべき百番目の城を落とす直前、突如として夜襲を仕掛けてきた龐煖の手によって摎は無残にも命を奪われてしまいました。現場に駆けつけた王騎は怒りのあまり龐煖の顔を切り裂き撃退したものの、最愛の女性を失った傷は消えることはありませんでした。
馬陽の地は、摎が非業の死を遂げた因縁の戦場そのものであり、王騎にとってこの戦いは、昭王の時代から続く「魂の決着」をつけるための舞台だったのです。