海水温の上昇や平均気温の変動は、日本の食文化の根幹である「旬」の概念を直接的に揺さぶっている。かつて秋の味覚の代名詞だったサンマやサケの不漁が定着する一方、北海道でブリやフグの揚陸量が急増するなど、水産業の地図は数年で劇的に塗り替えられた。
農産物の現場も同様だ。長野や山形といった寒冷地で高品質な柑橘類の栽培が本格化し、かつての最高級米の産地適性が北上を続けている。料理人たちはこの環境変化を単なる危機として捉えるのではなく、新しく手に入る食材の組み合わせを模索し、2026年現在の気候に合致した新しい季節感を皿の上に表現し始めている。