日本民営鉄道協会が毎年発表している「駅と電車内の迷惑行為ランキング」において、荷物の持ち方・置き方は常にトップクラスの座を占めています。なかでもリュックサックを背負ったまま乗車する行為は、長年にわたり乗客同士の摩擦を生む最大の火種となってきました。
背負ったままの乗車が強く問題視される決定的な理由は、「本人の視界に入らない死角で他人に物理的危害や強い圧迫を与えてしまう構造」にあります。一般的な成人用リュックは、荷物を収納すると奥行きが20cm〜30cmほど外側に張り出します。背負っている本人は「自分の体幅」しか認識していなくても、実際には後方に分厚い異物を突き出した状態で歩行・静止していることになります。
その結果、車内で方向転換をした際やすれ違いざまに、後方に立つ人の顔面や胸元、あるいは着座客の頭部にリュックが直撃する事案が後を絶ちません。衝撃を与えた本人は背中側の出来事であるため衝突にすら気づかず、謝罪もないまま立ち去るケースが多いため、被害を受けた側に極めて強い憤りを残します。また、ドア付近に背負ったまま立ち止まることで乗降ドアにリュックが挟まり、列車の安全確認や遅延を引き起こす要因にもなっています。