舞園さやかが企てた計画は、主人公である苗木誠との関係を利用した極めて周到なものでした。苗木に対して「夜が怖いから部屋を交換してほしい」と持ちかけ、部屋のネームプレートを付け替えることで犯行現場を偽装。その上で、身体能力が高く油断を誘いやすい超高校級の野球選手・桑田怜恩を自室(実際は苗木の部屋)にメモで呼び出し、隙を突いて殺害しようと試みました。
しかし、計画は手痛い狂いを生じさせます。桑田の並外れたアスリートとしての反射神経と反撃により、舞園は逆に手首を骨折。バスルームへと逃げ込んで鍵をかけますが、桑田が工具箱から持ち出したドライバーによってドアノブを解体され、最期は模擬刀と包丁の攻防の末に腹部を刺されて命を落としました。
息絶える直前、彼女が背後の壁に自身の血で書き残した文字こそが、あまりにも有名なダイイングメッセージ「11037」です。一見すると無機質な数字の羅列に見えるこの文字列は、上下を反転(180度回転)させることで「LEON(怜恩)」と読める構造になっていました。
このメッセージが意味する最大の焦点は、「彼女はなぜ死の間際にこれを遺したのか」という動機にあります。学級裁判において、苗木誠が犯人として処刑されるのを防ぐためだったのか、それとも自分を殺害した桑田への復讐心だったのか。霧切響子は裁判の終盤で「最初は自分の身を守るための裏切りだったかもしれないが、最期に残したメッセージは苗木君を救うための想いだったと信じたい」と語りかけています。自己保身の策謀から始まりながらも、最後の刹那に芽生えた苗木への贖罪と祈りが、あの5つの数字に込められていたのです。