知識の伝達スピードもまた、過去とは比較にならない。YouTubeをはじめとする動画プラットフォームでは、さいとうなおきのようなトップイラストレーターが精力的に「イラスト描き方講座」を発信している。プロが実際に筆を動かし、どの時点でどのラインを修正しているのかをリアルタイムで視覚化するコンテンツは、独学の壁に悩む若手クリエイターにとって救世主となった。
こうした講座で頻繁に説かれるのは、「パーツの構造を理解した上での省略と補強」だ。リアルな眼鏡の構造をそのまま描くと、イラストとしては重すぎたり、キャラクターの視線を阻害したりすることがある。魅力を最大限に引き出すキャラクターデザインの現場では、あえて下フレームを抜く(アンダーリム風にする)、あるいはレンズの透明度を部分的に変えるといった演出上の「引き算」が重要なテクニックとして共有されている。