ネット上の言説で頻繁に見受けられる致命的な誤解が、「コカ・コーラ社そのものが経営危機に陥っている」という短絡的な見方です。この誤解を解くには、世界的なコカ・コーラビジネスを支える「フランチャイズ・システム(ボトラー・システム)」の仕組みを正しく把握する必要があります。
米国のアトランタに本社を置くザ コカ・コーラ カンパニーは、原液の製造とグローバルなブランドマーケティングに特化しています。設備投資が極めて小さく、高利益率を誇る「アセットライト(資産を持たない)」経営を徹底しており、営業利益率30%前後を叩き出す超高収益企業です。
対照的に、ボトラー各社は工場を持ち、配送トラックを買い揃え、自販機を設置・保全し、スーパーの棚に商品を並べるという極めて資本集約的かつ労働集約的な泥臭い現場ビジネスを担っています。インフレ局面において、原価高や燃料高、人件費上昇の直撃を真っ先に受けるのは、すべてボトラー側です。
つまり、ブランドホルダーである「コカ・コーラ本体」は世界中で莫大な利益を上げ続ける一方で、実動部隊である「国内ボトラー」が重い固定費と市場縮小の板挟みになってリストラを断行しているというのが、経済報道における紛れもない力学です。この二重構造を見誤ると、事態の本質を見失うことになります。