彼女の物語が始まった舞台はYouTubeだった。当時、カラフルで快活なキャラクターたちがゲーム実況や雑談で覇権を争っていたプラットフォームに、突如として投稿された数本の短いビデオ。それはあまりにも異質だった。画質はあえて粗く落とされ、生活音だけが妙に生々しく耳に届く。
画面の隅に映り込むカレンダーの日付、少女がつぶやく意味深な単語、そして動画の概要欄に仕込まれた不可解な文字列。熱狂的なファンたちはそれらの暗号を解読しようと躍起になった。まるで現実の未解決事件を追跡しているかのような錯覚を与えるモキュメンタリー手法は、画面の向こう側の出来事を「いま、日本のどこかで起きている現実」へと変貌させた。