ここで、芸能界の構造と宗教問題における「一般に知られていない盲点」を整理しておく必要があります。大衆が抱きがちな「芸能界の権力=宗教団体の力」という短絡的な結びつけには、業界の実務を知らないがゆえの重大な誤解が含まれています。
旧ジャニーズ事務所がテレビ局に対して持っていた絶大なキャスティング影響力は、宗教的な後押しによるものではなく、「所属アイドルを独占的に供給することで高視聴率を叩き出し、雑誌・CM・興行を包括して利益を生み出すビジネスモデル」の徹底によるものでした。莫大な広告料とファンクラブ収益、そして競合男性アイドルの排除という世俗的な資本主義システムによって築かれた権力構造であり、そこに宗教的組織票が介在する余地はありませんでした。
また、日本国憲法第20条が保障する「信教の自由」という観点も重要です。数百人規模のタレントやJr.(旧ジャニーズJr.)が所属する組織において、個々人の家庭環境や親の信仰が千差万別であることはごく自然なことです。仮に、タレントの親族や個人のなかに特定の信仰を持つ者が私的に存在していたとしても、それは個人のプライバシーの領域であり、「事務所が創価学会と癒着している」「組織ぐるみで布教を行っている」といった話とは次元が全く異なります。