現在、全国の清掃現場で最も深刻な脅威となっているのが、「収集車火災」の急増です。東京消防庁をはじめとする各自治体の消防データによると、ゴミ収集車の火災事故は後を絶たず、その主原因は市民の無分別なゴミ排出にあります。 火災の元凶として突出しているのが、リチウムイオン電池(モバイルバッテリー、加熱式たばこ、ハンディファンなど)と、中身が残ったスプレー缶・カセットボンベです。 リチウムイオン電池は、外装に強い圧力が加わって内部短絡(ショート)を起こすと、一瞬で数百ミリ秒のうちに熱暴走を起こし、1,000度を超える猛烈な火炎を噴き出します。前述の通り、パッカー車内部はすさまじい油圧でゴミを粉砕・圧縮しているため、可燃ゴミの中にリチウムイオン電池が紛れ込んでいると、プレートで押し潰された瞬間にパキッと発火し、周囲の紙やプラスチックに燃え移るのです。 現場の清掃員の手記には、その生々しい恐怖が次のように綴られています。 「荷箱から突如として白い煙が噴き出し、焦げ臭い異臭が充満したと思ったら、次の瞬間にはバックミラーが炎で真っ赤に染まっていた。住宅密集地だったため民家への延焼を防ぐのに必死で、路肩の安全な場所まで車を走らせ、消防を呼んでゴミを路上にぶち撒けて消火した。もし破裂したのがプロパンやスプレー缶なら、破片が飛んで命を落としていた」 数千万円もするゴミ収集車が全焼して廃車に追い込まれるだけでなく、周辺の住宅街や通行人をも巻き込みかねない大惨事となります。この危機を受け、最新のパッカー車にはホッパー内部の異常発熱を赤外線で感知する「火災予知センサー」や、荷箱内に消火液を直接噴射する「自動消火システム」のオプション搭載が進んでいますが、根本的な解決は市民側の正しい分別意識にかかっています。
なぜあんなに入る?ゴミ収集車の仕組みと驚異の油圧・安全装置の真相
•
•
1分で読める