多くの読者が最も気にかけていたのが、「斉木楠雄は最終的にどうなったのか」そして「完璧美少女・照橋心美(てるはし ここみ)との恋の結末」です。本誌最終回とそれに続く『ジャンプGIGA』掲載のエピローグでは、コメディとしての痛快さを保ちながら、実に美しい結末が描かれました。
本誌最終回において、斉木は日本を滅亡から救うため、兄・空助の開発した装置を用いて長年彼を苦しめてきた超能力を自ら放棄します。念願だった「普通の人間」となり、他人の心の声が聞こえない静寂な日常を手に入れた斉木。しかし、平穏を手に入れたはずの彼の前に立ちはだかったのは、他でもない「仲間たちの存在」でした。
『ジャンプGIGA』に掲載された後日談では、能力を失ったことで周囲の突発的なトラブルに巻き込まれ、仲間たちのピンチを察知できず無力感に苛まれる斉木の姿が描かれます。そして最終的に、再び迫り来る災難から友人たちを守るため、斉木は眠っていた超能力を自らの意志で覚醒させる道を選びます。かつては忌み嫌い、呪いとさえ捉えていた超能力を、大切な仲間と共存するための「アイデンティティ」として引き受け直すという、鮮やかな心理的成長が描かれたのです。
そしてヒロイン・照橋心美との関係性について。作中、全人類を「おっふ(感嘆の吐息)」と平伏させてきた照橋さんに対し、斉木は心の声を読み解けるがゆえに最後まで「おっふ」を口にすることはありませんでした。しかし、超能力を失った状態で照橋さんと対面した際、斉木は彼女が外見だけでなく、周囲の期待に応えようと見えないところで血の滲むような努力を続けている本質を再認識します。
最終的にふたりが明確な恋人同士になるような直接的描写は避けられたものの、斉木は彼女の存在を心から認め、無自覚ながらも特別視している態度を覗かせます。傲慢な神に愛された女と、神をも凌駕する力を持つ男。恋愛という枠組みを超え、互いを最も揺さぶる好敵手であり特別な存在として関係を閉じる構成は、原作ファンの間でも「これ以上ない完璧な着地点」として極めて高く評価されています。
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