世界に目を転じた場合、ギネス世界記録および国際的な小児医学界で公認されている最年少出産の世界記録は、南米ペルーのリナ・メディナ(Lina Medina)による事例です。1939年5月14日、彼女はわずか5歳7カ月21日で男児を帝王切開にて出産しました。
当初、腹部が異様に膨らんだ少女を診察した医師たちは巨大な腹部腫瘍を疑いました。しかし、精密検査によって子宮内に妊娠7カ月半の胎児が確認され、首都リマの病院へ緊急搬送された後に無事出産に至ったのです。執刀医のエドムンド・エスコーメル医師らによって詳細な医学レポートがまとめられ、世界中の医学界を震撼させました。
なぜ幼児期において妊娠・出産という生殖機能が作動したのでしょうか。その医学的要因が「思春期早発症(真性思春期早発症)」です。
思春期早発症とは、通常であれば10歳前後に作動する視床下部・下垂体・性腺系(HPG軸)の内分泌シグナルが、何らかの原因で極端に早い時期に過剰活性化する疾患です。リナ・メディナの場合、生後数カ月で乳房の発達が始まり、3歳未満で初経(月経)を迎えていたと医学論文に記録されています。身体の外見は幼児であっても、卵巣と子宮の機能だけは成熟した成人女性と同じ状態に達していたため、性被害に遭った結果として受胎が成立してしまいました。
当然ながら5歳児の骨盤は経膣分娩に耐えられる骨格構造を持っておらず、帝王切開以外の選択肢はありませんでした。この痛ましい事例は、小児内分泌疾患の過酷さと、無防備な女児を取り巻く性的虐待の危険性を浮き彫りにした歴史的記録として、今日まで医学教科書に刻まれています。