津軽地方の中心地として栄えてきた弘前には、古くから独自の餅菓子文化が息づいています。その代表格である「うちわ餅」のルーツを語る上で欠かせないのが、弘前市銅屋町に店を構える戸田うちわ餅店です。創業は江戸末期から明治初期にまで遡るとされ、100年以上の歴史を刻んできた弘前を代表する和菓子老舗として知られています。
独特な名称の由来は、串に刺さった餅の形状が「扇(うちわ)」の形に似ていることから名付けられました。古来より団扇は涼をとるだけでなく、厄を払い福を招く縁起物としての意味合いも持ち合わせています。津軽の厳しい冬や夏の農作業の合間に、人々の活力源として親しまれてきた歴史的背景が、この素朴で力強い味わいの中にしっかりと息づいています。