ネット上のQ&AサイトやSNSでは、自転車の空気抜けに関して誤った情報や危険な対処法がまことしやかに拡散されています。その代表例を検証し、誤解を解きます。
誤解1:「乗らずに置いておくだけなら空気は抜けない」
「半年間まったく乗っていないのにタイヤが潰れていた、誰かにイタズラされたのではないか」という相談が後を絶ちません。前述の通り、チューブのゴム分子の隙間から空気は自然に漏洩します。さらに、乗らない状態で空気が抜けたまま車重がかかり続けると、タイヤとチューブがホイールのリム(金属輪)に挟まれて折り目状に圧迫され、ゴムに深いヒビ割れが生じて再起不能なチューブ破損を招く結果となります。乗らなくても月1回のポンピングは必須です。
誤解2:「市販のパンク防止剤・緊急補修スプレーを入れておけば安心」
ホームセンター等で売られている注入型パンク防止剤は、釘が刺さった瞬間に穴を塞ぐ便利なアイテムに見えます。しかし、現場の整備士が最も難色を示すのがこの製品です。バルブ内部に注入液が固着して空気圧の微調整ができなくなるほか、いざ本格的なパンクでチューブを修理しようとした際、穴の周囲に液剤が噴き出してパッチの接着ゴム糊を弾いてしまい、修理不能で即チューブ交換(高額出費)を強いられるケースが頻発しています。
誤解3:「空気が抜けるたびに強く入れれば問題ない」
微量な漏れを放置し、「乗る直前に限界まで高圧で空気を入れて誤魔化す」という使い方は重大な事故を招きます。空気圧が適正値を下回った状態で段差を乗り越えると、路面とホイールの金属リムの間にチューブが強く挟み込まれ、ヘビが噛んだような2本並びの裂け目ができる「リム打ちパンク(スネークバイト)」を引き起こします。これは微細なパンク穴とは異なり、チューブが激しく裂けるため、走行中の突然の転倒事故に直結します。