音楽評論家や同業者からも、西城秀樹の『ラスト・シーン』における歌唱力への評価は群を抜いて高く位置づけられています。一般的な歌謡バラードに見られる単調なメロドラマではなく、Aメロにおける抑えの効いたウィスパーボイス、Bメロでの苦悶を帯びた息づかい、そしてサビで爆発するチェストボイスのロングトーン。感情のダイナミクスレンジが極めて広く、未熟な歌い手では平坦になってしまう難曲を完璧に掌握しています。
2018年5月に西城秀樹が急逝した際、SNSやネット掲示板、追悼番組にはファンからの声が殺到しました。その中で特に中高年層のみならず若い世代のリスナーからも熱狂的な再評価を受けたのが、まさにこの『ラスト・シーン』でした。
「テレビの追悼特集で初めてフルコーラスを聴いて涙が止まらなかった」
「激しいアクションのイメージしかなかったが、こんなにも優しく、痛いほど哀しい歌を歌える人だったのか」
「公式YouTubeやサブスクで過去のライブ音源を掘り起こし、ライブ盤の『ラスト・シーン』の迫力に鳥肌が立った」
追悼を契機に、ネット上では単なるノスタルジーにとどまらない純粋な「ボーカリスト・西城秀樹」への驚嘆が広がりました。阿久悠の緻密な心理描写と三木たかしのドラマツルギーを、自らの血肉として吐き出す秀樹の歌声は、半世紀近い歳月を経てもなお色褪せることなく、聴き手の胸を締め付け続けています。