なぜこれほどまでに極端な人格が形成されてしまうのか。臨床心理学の知見では、自己愛が強い原因と育ちには明確な養育パターンの偏りが指摘されています。
代表的な要因の1つが「条件付きの愛情」です。「テストで100点を取ったときだけ褒められる」「親の理想通りの良い子でいるときだけ愛される」という環境で育った子どもは、無条件に愛された実感を獲得できません。「完璧でなければ見捨てられる」「価値のない自分には生きる資格がない」という根源的な恐怖を抱え、その恐怖を打ち消すために全能感の鎧を身にまとうようになります。
もう1つの要因は、現代の家族病理としても指摘される「過剰な甘やかしと境界線の崩壊」です。親が子どもの失敗を先回りして排除し、「あなたは何でもできる天才」「周りが間違っている」と特別扱いし続けた場合、子どもは現実的な挫折耐性(健全な自己愛の傷つき)を経験する機会を奪われます。昭和から平成、令和へと続く過干渉な養育環境や、親自身の承認欲求を子どもに投影する「ステージママ文化」の変形が、大人になっても他者を対等な人間として認識できない未熟な怪物を生み出してしまうのです。