知名度を糧にする芸能人や著名人にとって、自身の精神障害や発達特性を公表することは、キャリア上のリスクを伴う賭けでもあります。CM契約の制限や、特定の偏見に晒される恐れがあるにもかかわらず、彼らが発信に踏み切る背景には共通した理由が存在します。
第1の理由は、「生きづらさの正体を言語化し、自責の念から解放された経験」の共有です。栗原類さんや小島慶子さんが語るように、診断を受けるまでは「なぜ自分は他の人が当たり前にできることができないのか」と自分を責め続けていたケースが目立ちます。診断名がつき、自身の特性の輪郭がはっきりしたことで、「自分の努力不足ではなく脳の特性だった」と納得できた安堵感を、同じように苦しむ人々へ届けたいという動機です。
第2の理由は、「仕事場における合理的配慮の獲得と環境調整」です。公表することによって、マネージャーや制作スタッフ、共演者に対して「自分にはどのような配慮が必要で、どのような環境であれば最大のパフォーマンスを発揮できるか」を公式に共有できます。勝間和代さんが実践しているように、不得意な分野はデジタルツールや他者に任せ、自身は得意なロジック構築や執筆に専念するという「選択と集中」の合意形成を社会的に作り出す狙いがあります。
第3の理由は、「社会のステレオタイプを打破する啓発活動」です。メディアで活躍するインフルエンサーが自らの弱点を開示することで、「発達障害=何もできない人」という旧来の偏見を打ち破り、多様な認知特性を持つ人々が共存できる社会(ニューロダイバーシティ)の実現に向けた発信者としての使命感を抱いているのです。