自由を謳歌できるミニボートですが、ミニボート危険性と海上事故の発生件数は高止まりを続けています。海上保安庁が公開する海難事故統計によると、プレジャーボート全体の事故原因において、免許不要ボートを含むミニボートのトラブルでは「機関故障(エンジン不調)」と「漂流」が常に過半数を占めています。
現場の海上保安官が指摘する深刻な問題が、操縦者の「正常性バイアス」です。「陸から1km程度しか離れていないから泳いで帰れる」「携帯電話の電波が繋がるから大丈夫」という根拠のない過信が、致命的な判断の遅れを生みます。海上では風速4m/sを超えると白波が立ち始め、海面からの視点が極めて低いミニボートは波間に隠れて他船から視認できなくなります。大型船の引き波一発で転覆するリスクを抱えているのがミニボートの現実です。
最も典型的な事故事例は、離岸風(岸から沖に向かって吹く風)による流失です。朝マズメのベタ凪に出航したものの、昼前から吹き始めた風に押し戻され、全開走行しても岸に近づけずガソリンを消費。やがて燃料切れとともに沖合へと流され、日没を迎えて救助要請に至るパターンです。海上でエンジンが停止すれば、ボートは横波を受けて容易に転覆します。ライフジャケットの着用はもちろん、セーフティフラッグ(視認用旗)の掲揚と気象予測の徹底は絶対条件です。