インターネット上の掲示板やSNSでは、「目の前がチカチカしたけれど、頭痛が来なかったから安心した」という書き込みが散見されます。しかし、医療の現場においてこれは極めて危うい誤解です。
いわゆる「頭痛を伴わない閃輝暗点」は、閃輝暗点で頭痛がこない危険性として近年強く警鐘が鳴らされています。若年層であれば片頭痛の不全型として頭痛が出ないケースもありますが、40代〜50代以降で初めて頭痛を伴わない閃輝暗点を経験した場合、背景に潜む血管病変を疑わなければなりません。
特に注視すべきは、目がチカチカする症状が脳梗塞の前兆であるパターンです。加齢や生活習慣病によって動脈硬化が進むと、首から後頭部へと続く椎骨動脈や脳底動脈に血栓が生じやすくなります。一時的に血流が途絶えて閃輝暗点に類似した視野障害を引き起こす「一過性脳虚血発作(TIA)」であった場合、その後に本格的な脳梗塞を発症するリスクが極めて高くなります。「痛くないから大丈夫」ではなく、「痛まないからこそ血管の異常を疑う」という認識の転換が不可欠です。